ウェブマーケティング講座09 ウェブマーケティング講座09

ウェブマーケティング講座 第9回

<第9回>応募数を増やす
応募フォーム項目の必要性を考えることで応募増につなげる

株式会社Task it 代表取締役(2016年より現職)
株式会社リクルートジョブズにて人材の営業、新規事業立ち上げ部署などで従事後、ウェブの可能性を感じ独立。ウェブ業界未経験の状態だったものの、ウェブ解析士取得から約1年半でウェブ解析士マスターまで取得。
現在は、個人・企業に対してウェブ解析士講座やGoogle アナリティクス講座の実施や、ウェブコンサルティングを行っている。
著書に「Googleデータポータルによるレポート作成の教科書」や「1週間でGoogle アナリティクス4の基礎が学べる本」がある。(ともに共著)

<第9回>応募数を増やす
応募フォーム項目の必要性を考えることで応募増につなげる

前回までの振り返りと、今回のお話について

前回は、「サイト内回遊(後編)」として、自社の採用ホームページに載せるべき内容についてお話をしました。
今回は、自社採用ホームページからの応募数を増やすために、直接的にできることをご紹介していきます。

入力するのが嫌になる入力フォームって、経験ありませんか?

この記事を読んでいるのは主に人事の方なので、ご自身で転職活動でもしていない限りは「応募フォームに入力をする」という経験は、最近ではあまりされていないのではないでしょうか?

ただ、たとえば日常の通販サイトでのお買い物などで、いわゆる「入力フォーム」に住所や名前などを入力する、ということは最近でもされているのではないでしょうか?

そこでご質問ですが、「うわ、なにこれ項目多いな…!!」とか、「これ、どこが入力失敗しているのかわからない…」のような経験はありませんでしょうか。

自社採用ホームページの応募フォームでは、応募者にも同じように「面倒だな〜」と嫌な思いをさせてしまっていないか、確認してみましょう。

ちなみに私自身も最近クレジットカードの申し込みフォームでどうしても住所入力がエラーになり、3回くらい諦めてはトライし…ということをして、挫けかけました。(非常に魅力的な入会キャンペーンがあったため、コールセンターに電話もしつつ、なんとか入力しましたが…)

余談ではありますが、上記エピソードからの2つの学びとしては、

入力がうまく行かない、面倒だと応募や申込みを諦めることもある
魅力的なオファー(求人内容・企業・職場環境など)であれば、入力フォームがイマイチでも、応募は来る
(ただし、取り逃しが確実に一定数は発生していることに留意)

ということが言えます。

応募フォームの考え方

先程、まずイメージをしてもらいやすいように、応募フォームの話ではなく、一般的な入力フォームの話から始めました。
皆さんの採用ホームページにある応募フォームも、広い意味では「入力フォーム」の一種です。

こういった、入力フォームで入力を諦めてしまう、やめてしまうということをなるべく少なくするための考え方を「EFO(Entry Form Optimization:入力フォーム最適化)」と言います。

 

EFOの基本的な考え方は、

とにかく入力項目はなるべく少なくし、必要最低限にする

項目数などを明示し、どの程度時間がかかりそうか?などを明確にする

入力補助などを使い、極力ユーザーの負担を減らす

入力エラーはページ遷移せずとも(確認画面に行かなくても)すぐに通知する

離脱時にポップアップを出して確認する(誤操作防止)

細かく言うともう少しありますが、概ねこのような対策にまとめられるでしょう。

 

EFOは、ツールを使うのがオススメ

上記のようなことを、ちゃんとやっていこうとすると、実は結構大変だったりします。

入力項目の制御は簡単にできますが、入力補助、例えば半角全角の制御とか、郵便番号を入れたら住所が反映するとか、
入力エラーを即時で通知する、離脱時にポップアップを出すなどは、プログラムを組まなければ実現できません。

そこで、こういったEFOに必要な機能をまとめた「EFOツール」というものが、世の中にはありますので、ツールを使うことがおすすめです。

大体はどのツールでも上記のようなEFOに必要な機能が揃っており、なおかつ分析画面では、「どの項目で入力をやめているのか?」などの情報も取れることが多いため、入力項目を残すかどうかの判断にも使うことができます。

ただ、値段はピンキリですが、ほとんどのツールが月額制のものになりますので、一定数以上の応募があり、費用が気にならない場合は良いのですが、募集・応募自体が少ない場合は、割高に感じるかもしれません。

 

まずは、入力項目の見直しをしてみましょう

理想的には、EFOツールを導入して、実際の入力を辞めた率などを見ながら項目調整をしていくのが良いのですが、先程もお伝えした通り、有料ツールということもあり全ての企業様で使えるものはないかなと思っています。

ですので、データやプログラムがなくてもできる「入力項目の見直し」にまずは着手してみましょう

入力項目見直しをする際の考え方は、

●なるべく項目は減らして、必要最低限に(例外は後述)
ということのみですが、もう少し分かりやすい判断基準をお伝えすると、

●面接時や、面接調整の連絡で聞けるものは、その時に聞いて、入力フォームには入れない
と、考えてみると、判断しやすいかと思います。

 

つまり、入力フォームに入れるべき内容は、

面接をするまでに、連絡などのやり取りで必要な情報
面接をするかしないかを決めるために必要な情報

のみとなります。

まず、連絡するために必要な情報として、名前や電話番号・メールアドレスなどは必要でしょう。
これは、入力もそこまで大変ではないですし、必要最低限だと思います。

究極的に、募集数も応募者数も少ないので、絶対に折り返し連絡します!ということであれば、電話番号だけ、メールアドレスだけでも不可能ではないですね。(オススメはしませんが…)

他にも、住所などもよく入力項目としてありますが、ぜひ一度「本当に必要なのか?」と考えてみてください。
住所があることで、「通える範囲に住んでいる人なのかな…?」や、「場合によってはこっちの店舗での勤務をオススメできるかも!」と、あればあったで良いことはありますが、

そもそも、原稿を見て特定の店舗、特定の職種に応募しているのであれば、少なくとも本人としては「通える」と判断して応募しているわけなので、一旦面接をしてみても良いのではないでしょうか?

住んでいる場所は遠いけど、通っている学校の近くなので…とかであれば、住所を見ても結局判断は出来ませんよね。

このようなイメージで、「面接で聞けば良いこと」と、「面接前に知っておかなければ、困ること」に、項目を分けながら、必要性を判断していきましょう。

また、フォーム内で必須項目と任意項目という分け方をよくしますが、「任意項目で、全員が書くわけではないから、聞けたら聞きたい質問を入れておこう」
とは、考えないようにしてください。

確かに、任意項目であれば入力は必要ない(しなくてもよい)ものではありますが、
任意項目でも項目自体があれば、「応募フォーム画面の縦の長さ」が長くなってしまいます

アルバイト・パート領域では、ほとんどの候補者の方がスマホ等モバイル機器で閲覧しています。

項目数が多い場合、ぱっと見た時に、何項目あるのかが分からず、
「なんか、記入しなければいけない項目がたくさんありそうだし、面倒だな…」と、応募を諦めてしまうことにも繋がります

そのため改めてとなりますが、面接前に必要でない情報は、面接で聞くようにしましょう

あえて項目を増やす…ということもある

今までお話した内容と真逆のことを言っていますが、これが先ほどの原則に対しての例外となります。

一般的な企業様からすると羨ましい話だと思いますが、やはり世の中には「人気企業」というものもありますし、人気企業でなくても人気職種や人気店舗など(特にオープニング案件など)、ある程度「多数の応募が見込める求人案件」の場合、逆に「応募が多すぎて、対応に困る」ということもあります。

その場合には、例外的に項目を増やし(例えば、志望動機などをしっかりと書いてもらい)、やる気があって、職場に合いそうな人のみ面接に呼ぶ、という面接選考に活用もできます。

これは、特に禁止事項がある訳ではないですので、同じ案件でも時期によっても変えていい訳です。ある意味での「応募数コントロール」を、入力項目の増減で行うことができます。

 

「応募」の意味をもう一度考えてみましょう

例外の場合にも触れてみましたが、やはり応募数は大いに越したことはないですよね。更に、この応募について少し認識を変えていただきたいのですが、「応募をしてもらう」ということは、「採用の候補者が増える」ということでもあるのですが、別の見方をすると「応募=連絡先を教えてもらう」ということでもあります。

このコラム上では、応募をした人も、応募はしていないけどサイトを見てくれたりしている人のことを、ひとまとめに「候補者」と言っていますが、実際には応募していない人は、実際どこのどんな人なのか?や、何回もサイトに来て迷っているということが分かったとしても、連絡先を知らないのでこちらから直接はどうにもできません。(ウェブ業界では、名前がわからないのでこの状態のユーザー(候補者)のことを「アノニマス」なんて言ったりもします。)

しかし、応募してもらえれば、名前やメールアドレス、電話番号などが分かります。もちろん、なかなか電話に出てくれない、メールしても無視されるなどは一定ありますが、名前も連絡先もわからない人よりは、名前や連絡先がわかっている人の方が、対応のしようがありますよね。

事前に承諾を取るなどの対応は必要ですが、今回の案件では見送りになったとしても、別案件の募集時にメールをしたりすることもできるかもしれません。

まずは、応募をしてもらう(連絡先を教えてもらう)ことを大事にしましょう。

 

改めてユーザー(候補者)の気持ちになって

特に、この記事の想定読者であるアルバイト・パート採用担当の皆様が関わる候補者は、転職よりもライトにお仕事を探したり選んだりしますよね。(第2回「行動モデル」第7回「サイト内回遊」コラム参照)
そのため、より「この会社、応募が面倒だから他のところにしよう」ということも起きやすいため、このEFOの考え方はとても重要です。

実際に、コラムを掲載頂いているリクオプのデータですが、項目を減らすことで入力完了率が上がっているというデータもあります。

<活用事例>応募フォームの簡略化

また少し話は逸れますが、応募フォームでユーザーの気持ちを考えるというと、先程の事前承諾の件も対応ができているか確認をしてください。昨今個人情報保護がより叫ばれている中、プライバシーポリシーの記載・同意がきちんとあり、収集するデータや利用目的などがきちんと記載されているということも候補者の安心感につながるります

 

本日の内容を受けて、自社の応募フォームを確認してみましょう

それでは最後に本日のまとめとして簡単なワークシートを用意しましたので、書き込みながら、改めて自社の応募フォームについて確認してみましょう。

 

人事のためのウェブマーケティング講座 コラム更新予定

第1回:<全体像>採用×ウェブ×マーケティングで言っていることとは?
第2回:<行動モデル>ユーザーの行動を考えよう、どうやって探して、何を検討する?
第3回:<USP>なぜ自社は選ばれるのか?を考えて、それをメッセージにしよう
第4回:<集客方法>ウェブ広告と求人広告
第5回:<集客方法>リファラルとは?
第6回(前編):<集客方法>検索キーワードの考え方、上位の狙い方~前編~
第6回(後編):<集客方法>検索キーワードの考え方、上位の狙い方~後編~
第7回:<サイト内回遊>応募までの導線。探す→見つける→検討する→応募する
第8回:<サイト内回遊>記事ページ。求職者が検討しているときに、口説けるページありますか?
第9回:<コンバージョン>応募フォームの項目は調整も必要。項目を減らす/必要性考える/面接すれば全部聞けること
第10回:<コンバージョン>ボタンの数を多くする・大きくする、難易度変える。
「よし!応募しよう!」と求職者が思ったときにすぐ、迷わず、押せるか?
第11回:<SNS採用>新たな潮流、SNS採用。若い層へのアプローチは有効だが、継続が大事。
気軽なコンテンツで続けよう。
第12回:<総まとめ>改めて、採用×ウェブ×マーケティングとは?を一緒に振り返りましょう

  ※タイトルや内容は予告なく変更になる場合もございます

 

▼執筆者プロフィール

 

★事務局より
他にも採用関連情報を随時公開しています。そちらも見てみたい方は下記ボタンをクリック!