【第10回】人事のためのウェブマーケティング講座

<第10回>
応募したい!と思った瞬間を逃さない&応募ではなくても連絡が取れるようにする

前回までの振り返りと今回のお話について

前回は「応募数を増やす」ということで、主に応募画面の入力フォームに対しての考え方をお伝えしました。今回は、「応募したい!と思った瞬間を逃さない&応募ではなくても連絡が取れるようにする」として、さらに別アプローチから応募数を増やすための活動についてご紹介していきます。

「よし!応募しよう!」と求職者が思ったときに
すぐ、迷わず、応募ボタンを押せるか?

自社採用ホームページ用のシステムなど利用している場合にはあまり考えずとも対応されていることが多いと思いますが、自社で作成した場合などは、注意が必要です。

まず最初に確認しておきたいのが、応募ボタンの設置についてです。
通常、採用ホームページ用のシステムで作ったページや、各種大手求人サイトなどは、必ず1原稿ごとに応募ボタンがあります。また、PCで見たときは画面上部、スマホで見たときは画面下部などに、応募ボタンが常に表示されているようなデザインも多いです。

ポイントとしては、「応募したい!と求職者が思った時に、すぐに迷わず応募できる状態を作れているか?」ということになります。このコラム内でも度々お伝えしていますが、ユーザー(求職者)の気持ちになると、求人原稿を読んでいて「お!良さそうだな!応募しよう!」と思った時に「あれ?応募するのって、どこからだ?」と迷ってしまうと、「よくわからないから、また今度にしよう」→忘れて応募されない。ということになりかねません。必ず、常に目につく場所に表示するようにしてください。

また、物理的に「ボタンのサイズを大きくする」「複数個のボタンを設置する」ことも有効です。
たとえば、極端な例ですが「応募する」ための導線がボタンではなくテキストリンクだった場合、視覚的に気付きづらく、スルーされてしまう可能性もあります。一番取ってほしい行動は応募ボタンをクリックしてもらうことですので、しっかりと気づいてもらえるようサイズを大きくしてみてください。

先程説明した「常時表示する」が難しい場合には、ページ内の複数箇所に設置することが有効です。

 

応募以外の連絡はNGですか? 応募が少ない場合に検討してみること

併せて考えていただきたいのが「応募」以外でも求職者から連絡をもらう手段を用意しておく、ということです。通常、自社採用ホームページの目的は「求職者に応募をしてもらうこと」です。そのために「応募する」というボタンがあり、「求人案件に応募する」という理由で、求職者は企業に連絡をしてきます。

しかしながら、これを通常のウェブサイトに置き換えると「ユーザーに購入してもらうこと」が目的なので、「購入する」ボタンしかなく、「商品を購入する」という理由でしか、ユーザーは企業に連絡できない。こんなサイトだったら、どう感じるでしょうか?

お伝えしたいこととしては「応募する」ことは求職者にとっても最終的な行為であり「簡単にはできない」ということです。(もちろん、あまり何も考えず応募して、応募したことすら忘れてしまう方も中にはいますが…)

つまり、「応募」以外に もう少しハードルの低い連絡手段があっても良いのではないでしょうか?

たとえば、「問い合わせする」「募集情報の詳細について質問する」「登録する(登録しておいて条件に合うものがあれば応募する)」「求人案件について相談する」「説明会に参加する」などなど…。

「応募」してしまうと、当然のように書類審査や面接へとどんどん工程が進んでいきます。「応募してもいいかもしれないけれど、まだ本当にこの仕事が合うかどうかわからない」と思っている場合に、もし「応募する」ボタンしかないと、求職者は企業に連絡が取れませんよね。

このケースも通常のウェブサイトに置き換えると、「購入する」ボタン以外に「問い合わせ」ボタンや「資料ダウンロード」ボタン、「チャットで聞く」ボタン、「メルマガ登録」ボタンなどが設置してありますよね。「購入する」という最終的な購入行動(心理的ハードルが高い行為)の手前の、様々なコンディションの人は連絡できる手段を用意しておくことが一般的になっています。

ただ、これはあくまで「考え方」であり、必ずしも全ての企業/求人案件でやるべきではありません。ある程度人気があり、応募数が多い求人案件であれば、わざわざ問い合わせ対応や相談対応などせずとも、必要量の応募が来るでしょう。
しかし、なかなか応募が来ないような求人案件の場合は、せっかく求人を見つけてくれて、少し検討してみたいなと思ってくれた方がいるのであれば、問い合わせ対応や相談対応であっても、やり取りをしながら仕事の魅力など伝えていけたら良いですよね。

前回のコラムでも書きましたが、「応募」というものは、言い方を変えると「連絡先を教えてもらう」ということです。

応募しようかどうか、悩んでいる人がいても、連絡先を知らなければ何も話せません。しかし、質問や相談など、何らかの理由で連絡先を聞けていれば、会話ができます。

ぜひ、なかなか応募が来ないと感じている方は、試してみてください。

本日の内容を受けてのワーク

それでは最後に本日のまとめとして簡単なワークシートを用意しましたので、書き込みながら確認してみましょう。

執筆者プロフィール

 

株式会社Task it 代表取締役(2016年より現職)
株式会社リクルートジョブズにて人材の営業、新規事業立ち上げ部署などで従事後、ウェブの可能性を感じ独立。ウェブ業界未経験の状態だったものの、ウェブ解析士取得から約1年半でウェブ解析士マスターまで取得。
現在は、個人・企業に対してウェブ解析士講座やGoogle アナリティクス講座の実施や、ウェブコンサルティングを行っている。
著書に「Googleデータポータルによるレポート作成の教科書」や「1週間でGoogle アナリティクス4の基礎が学べる本」がある。(ともに共著)

 

 

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