SEO前線アップデートコラム:2023年to2024年

今回のコラムについて

今回のコラムでは、SEOの進化についてお話をしていきます。
SEO業界においては、YMYL(Your Money Your Life)という領域が、特にSEOでの上位表示競争が激しい領域になります。

求人領域においては、各有料求人媒体においては、上位を取ることがかなり直接的に売上・利益に結びつくため、必死でSEOをしているかと思いますが、当コラムの読者層(自社の求人採用担当をしている人事担当者様)目線で言うと、そこまで必死に最前線を追いかけ、常に対応をしていくという必要はないと考えており、

こちらのコラムでも書いたように「王道」を粛々と対応していくということで良いと思っていますが、やはりどうしても上位表示したいキーワードがある場合など、SEOの知識がもう少し必要な事もあるかと思いまして、簡単にではございますが、ここ最近のSEO知識について、アップデートできるような内容をまとめることにしました。

2023年から2024年の主な変更点

Googleの検索順位付けのロジック(コアアルゴリズムと呼ばれます)は、定期的に変更(アップデート)がされています。

だいたい、年に数回のアップデートが行われます。(2023年は3月、8月、10月、11月の4回実施されました)

ほとんどは、上記コラムでも書きましたが、Googleが最終的に検索体験として目指している「このキーワードでユーザーが検索した時に、一番ユーザーが満足する(と思われる)順番」になるように、ロジックを微調整する。というもので、特別「今回こういうロジックの変更をしました!」という発表はないものとなります。

ただ時々大きなロジックの変更を行い、どのようなことに気をつけるべきか?まで示される場合もありますので、そのような大きな変更点について解説できればと思います。

しかし、残念ながら2023年〜2024年にかけての4回のアップデートではそのようなアナウンス付きのアップデートはありませんでしたので、ここ10年くらいのアナウンス付きのアップデートで知っておくべき考え方やキーワードをご紹介したいと思います。

01_ E-E-A-T(旧E-A-T)

もともとは「E-A-T」として、検索順位を決めるための新たなページの評価基準として2014年3月31日に発表されていましたが、2017年のアップデートでより重要性が増しています。

「E-A-T」は、

Expertise(専門性)
Authoritativeness(権威性)
Trustworthiness(信頼性)

の頭文字を取ったもので、現在ではそれに
Experience(経験)
が加わり、「E-E-A-T」として知られています。

 

それぞれの意味・評価するポイントは、

経験

ページ(コンテンツ)制作者がどんな経験や体験をしているのか?を評価します。自分ではやったことがないけれど、ウェブ上の知識だけをまとめているのと、実際に実体験をした上で作られたコンテンツでは、役に立つ度合いが違います。
そういった実体験を元にした情報は、他にない独自のコンテンツになり、評価が高くなります。

専門性

サイト全体のコンテンツと該当のページのコンテンツが同じテーマかどうか?などから評価されます。
例えば求人サイトとして運営されているウェブサイトで、急にコーヒーの記事が出てきても、コーヒーについてずっと書いているウェブサイトが出したコーヒーの記事の方が専門性が高いと判断されます。

権威性

ページ(コンテンツ)を作っている人が世間的にも信用されている、権威のある人物なのかどうか?ということです。

例えば、「肩こりの治し方」というテーマで書かれたページがあった時に、一つは医者が書いた(もしくは監修した)ページ、もう一つはデスクワークが多いサラリーマンの方がオリジナルで考えた内容だった時に、やはり医者が書いた方がより良い内容であり、信頼に足る可能性が高いと判断されます。

信頼性

ページ(コンテンツ)内の情報や作成者、ウェブサイトの運営者が信用できるかどうか?という点の評価です。

レビューや口コミなどはより信頼性のある情報として判断されますし、コンテンツ内の主張にエビデンスが記載されている、信頼性の高い機関などの引用をしているなども評価の対象となります。

2014年に発表された評価基準が、なぜ2017年のアップデートでより重要視されるようになったかというと、当時特に医療や健康関係の情報において、専門家ではない人が書いた正確性に欠ける記事が上位を占めてしまっていたことがありました。

そこで、Googleはもともと概念として発表済だったE-A-Tを、特にYMYL分野で順位決定により影響を与えるようにアップデートをしました。

求人はYMYL分野にはなりませんので医療などの記事よりは影響度は少ないですが、このE-A-T(現在はE-E-A-T)の考え方自体は全ての検索結果に適用されるものですので、執筆者の権威性など、ぜひ記載できるものについては意識的に書くようにしてみてください。

02_コアウェブバイタルズ

こちらも、あくまで順位への影響は軽微ではありますが、実際にサイトを見るユーザーのためにも、意識をして頂きたい内容です。

※あくまでコンテンツ自体が優れているかどうか?が順位決定の基準だが、同じくらいの優れた内容であれば、コアウェブバイタルズが高いほうが優先される。

 

こちらは、2021年のページエクスペリエンスアップデートの際に新たに取り入れられた概念で、もともと、「モバイルフレンドリーか?」「HTTPSであるか?」「邪魔なインタースティシャル(コンテンツの邪魔をするようなもの)がない」というもともとの基準に加えられたものになります。

具体的には、「LCP(Largest Contentful Paint)」「FID(First Input Deley)」「CLS(Cumulative Layout Shift)」の3つになります。
※2024年3月12日より、FIDが「INP(Interaction to Next Paint)」に変更になります。

 

 

LCP(Largest Contentful Paint)

ページの読み込みに関する指標で、ページのメインコンテンツが読み込まれたと思われる時点までの速度を表します。

2.5秒以内にLCPが完了することが望ましいとされています。

 

FID(First Input Deley)※2024/3/12まで

ページの応答速度に関する指標で、ユーザーが最初にページを操作(リンククリックやボタンタップなど)をしてから、その操作に応じてブラウザが処理を始めるまでのスピードを表します。

100ミリ秒以下が望ましいとされています。

 

INP(Interaction to Next Paint)※2024/3/12から

FIDに変わり、ページの応答速度を測る指標として導入されました。FIDと同じくユーザーのクリックやタップに対し、外れ値を無視した最長の継続時間のことです。

200ミリ秒以下が望ましいとされています。

 

CLS(Cumulative Layout Shift)

ページの視覚的な安定性に関する指標で、ユーザーが予期しないページレイアウトの変更が発生する頻度を表します。

サイトのCLSスコアが0.1以下が望ましいとされています。

03_ヘルプフルコンテンツ

2022年からGoogleが新たな基準として、コアアルゴリズムのアップデートとは別に、定期的にアップデートをしてきましたが、こちらも2024年3月6日からはコアアルゴリズムに統合されたため、今後は通常アップデート時に併せて実施されます。

ヘルプフルコンテンツとは、「有用なコンテンツである」ということで、
以前の記事でもお伝えしたSEOの王道でもある、「ユーザーの検索意図」が満たされるようなページがヘルプフルであり、満たされないページが有用でないとされます。

 

具体的に、ヘルプフル(有用である)と評価するのには、例えば直帰率や滞在時間などのスコアが活用されています。

検索から飛んでいった先のページが役に立たなければ、すぐに戻ってきて再検索をするということになりますので、そうでなければ役に立ったページだろうという評価です。

ある意味これまでお伝えしてきた内容の総括のような内容になりますが、E-E-A-Tや、コアウェブバイタルズなどに表されるページのエクスペリエンス、そして検索意図を想像し、ユーザーが満足し、再検索しなくても済むようなページ・サイトの作りをしていれば、評価が上がります。

ということで、ここ最近(約10年くらい)の大きなアップデートで導入された考え方・用語などを説明してきました。

 

最後に、現時点では、まだ直接的に検索順位に影響は与えていないのですが、今後取り締まられる可能性が高いことについて説明して終わりたいと思います。

04_寄生サイト

あまり耳馴染みがないかとは思いますが、実は筆者も2024年3月にタイムリーに営業電話が掛かってきまして、これは注意喚起しなければ…と思ったので若干無理やりですがこちらに入れることにしました。

寄生サイトというのは、例えば皆さんの会社サイトがあるとします。
その一部のディレクトリを、貸してください。ということなんですね。

ちょっと分かりづらいと思いますが、
例えばこの記事を掲載しているリクオプのサイト「https://recop.jp/」があります。
このサイトは、「リクオプ」という商品についての様々な説明が載っているわけですが、

そこに、「https://recop.jp/insurance/」というディレクトリを作って、そこを間貸しして他の会社が保険商品についての説明ページを作る。というようなことが「寄生サイト」ということになります。

そもそも、これ自体自社がせっかく頑張って蓄積してきたサイトとしての評価を、他社に使わせるということなので、もったいないという点もありますし(おそらく、いくばくかのっレンタル料はもらえるのだと思いますが…)、今後のアップデートで取り締まられていくだろうとも言われておりますし、何より自社事業と関係ない怪しい事業などにドメインが使われてしまうと、会社のイメージダウンにも繋がる可能性があります。

少し余談になりましたが、ぜひご注意ください。

最後に

今後も定期的に(年一回程度)このようなアップデートをご説明する記事を出せたらと思います。
ただ、評価基準は日々変わっていますが、
根本は全く変わっていませんので、ぜひ王道の考え方を守ってやっていくということを意識してください。

執筆者プロフィール

株式会社Task it 代表取締役(2016年より現職)
株式会社リクルートジョブズにて人材の営業、新規事業立ち上げ部署などで従事後、ウェブの可能性を感じ独立。ウェブ業界未経験の状態だったものの、ウェブ解析士取得から約1年半でウェブ解析士マスターまで取得。
現在は、個人・企業に対してウェブ解析士講座やGoogle アナリティクス講座の実施や、ウェブコンサルティングを行っている。
著書に「Googleデータポータルによるレポート作成の教科書」や「1週間でGoogle アナリティクス4の基礎が学べる本」がある。(ともに共著)

 

 

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