【第2回】人事向けGoogle アナリティクス集中連載
〜GA4はココを見よう!〜

第2回:ユーザー編

公開日:2024年6月28日

前回の振り返りと今回のお話について

前回は、まずは新連載1回目ということで、今回の連載の前提となるようなお話をさせていただきました。

今回からの3回は、Google アナリティクスの見方として、Google アナリティクスの中でもよく使うメニューをご紹介しながら、分析の観点をお伝えしていく、ある意味「実践編」となります。

前回コラムの最後にも記載しましたが、ぜひGoogle アナリティクスを見れるように準備いただき、一緒に操作をしながら読み進めて行ってください。

ユーザー分析をするにあたって

ユーザー分析では
実際に皆さんの採用ホームページを訪れている

ユーザー(求職者)の性別や年齢層、どのエリアから見に来ているか
どのようなデバイスで来ているか

などの分析が可能です。ただし、2つほど注意点があります。

 

1.設定をしていないと確認できません

まず前提として、例えば性別・年齢などのデータは、皆さんの採用ホームページでは確認していないはずです。

つまりこのデータは、皆さんが独自に集めたものではなく、外部(Google)からデータ提供を受けて、初めて確認ができるようになるものです。そのため、この「Googleからデータ提供をしてもらう」という設定をしないと閲覧することが出来ません。

また、このデータ提供をしてもらう設定自体は非常に簡単なものではありますが(後述)、
こういったデータを活用してマーケティングを行っている旨、プライバシー・ポリシーに追記する必要があります。

※性別・年齢などのデータを表示するための設定方法
管理>データの収集と修正>データの収集>Google シグナルのデータ収集をオンにする

 

2.全員分のデータが確認出来るわけでもなく、完全に正確でもありません

上記、1でもご説明したように、Googleから提供を受けてユーザーの属性データを確認する訳ですが、Googleはどのようにデータを取得しているのでしょうか?

皆さんもGmailなどで「Google アカウント」を作成したことがある方が多いのではないかと思いますが、このGoogle アカウントを作成する際に、生年月日・性別の入力が必須となっています。このデータを元に、「マーケティングに使っても良い」としているユーザーのデータが共有されているのです。

つまり、「採用ホームページのユーザー全員の中の、閲覧したブラウザでGoogle アカウントにログインしているユーザーの中の、『マーケティングに使っても良い』と設定しているユーザー」のみのデータを見ているということで、改めて全員分ではないということがご理解頂けるかと思います。

実際、ウェブ解析士協会のGoogle アナリティクスにおいて、とある一ヶ月間で性別が判別しているユーザー数は、全体のユーザー37,002に対して、21,912(約59.2%)が「unknown」となっており、残りの40.8%のみ性別データが出ている状態です。

サイトごとに多少の差はあるかと思いますが、確実に言えることは100%判明している状態はありえないということです。

また、そんなに適当に答えている人も少ないとは思いますが、あくまで自己申告ですので、客観的な正確性は担保されていないということはご理解ください。

と、まずは注意点からお伝えしましたが、やはり自社の採用ホームページにターゲット通りの人が来ているかどうか?というのは気になるものですよね。

上記注意点はあるものの、

全くのデタラメという程のデータではない
上記ユーザー属性が分かる方たちに、性別や年齢に大きな偏りはない(はず)

という前提で、実数として分かっている数値は100%のうち40%程度ではありますが、概ね同じような分布であろうと見なして、参考にしていくのが良いです。

Google アナリティクス「ユーザー」の使い方

それでは前提となる考え方が理解できたところで、実際にGoogle アナリティクスを操作してみましょう。

まずは、マウスカーソルを左側に持っていき、メニューの中から「レポート」を選択します。

次に、少しマウスカーソルを右側にずらすと、レポート内のメニューを選択できるようになっていますので、

ユーザー>ユーザー属性>概要 をクリックします。

 

このあと、「ユーザー属性の詳細」も見ていきますが、まずは「概要」でざっくりと全体感を掴みましょう。

 

ユーザー属性の概要レポート

少し、収まりが良くなるように倍率を変更していますが、上記のような画面に切り替わったかと思います。

ここでは、「概要」レポートとなりますので、全体感を俯瞰して確認できるようになっています。先ほど少し言及しました「性別」「年齢(正確には年齢層ですが)」の分布や、どういった国・地域から来ているかなどが、概ね把握できます。

しかしながら、概要という名前の通り、
例えば性別であればシェアのパーセンテージは分かるものの、具体的な数値はわかりません。
年齢についても、18-24が一番多いこと、6,000弱であることは分かりますが、同じく具体的な数値は分かりません。

 

詳細を確認するためには、次にご紹介する「ユーザー属性の詳細」レポートで確認していきます。(概要のそれぞれのグラフ右下にある、「性別を表示→」「年齢層を表示→」からでも可)

ユーザー>ユーザー属性>ユーザー属性の詳細 をクリックします。

「ユーザー属性の詳細」をクリックすると、実際のレポート画面になりますが、以下キャプチャの上部赤丸部分を見ていただくと分かるように、「ユーザー属性の詳細:国」レポートになっています。

ユーザー属性「国別」レポート

どの国からどのくらいアクセスが来ているのか?という内容を表示するレポートですが、おそらく多くの企業様の採用ホームページは日本国内が対象でしょうから、そこまで見たいレポートではないかと思います。

ご紹介している、「性別」や「年齢」を確認するには、上記キャプチャの下部赤丸のプルダウンリストを変更します。

「国」が一文字でクリックできる範囲が狭いので若干押しづらいですが、「国」の部分をクリックすると、以下のようにプルダウンリストが出てきます。

ここで、実際に詳細を確認したいものを選択します。
そうすると、レポート自体が再読み込みされ、選択した項目でのレポートに切り替わります。

 

せっかく詳細が出てきましたので、細かい数値を見ながら分析し、対応策を考えていただきたいのですが、いくつか見るべき観点をご紹介します。

 

▼ユーザー属性「年齢・性別」で見るべき観点

 

性別や年齢などのユーザー数シェアが高い層が、自社ターゲット層と合っているか?

もし合っていなければ、集客の方法、ウェブサイトの雰囲気・トーンなどがターゲット層に合っているか?などを見直しましょう。

 

エンゲージメント率が極端に低くないか?

エンゲージメント率とは、ページやウェブサイトをちゃんと見てくれている人がどのくらいいるか?という率です。
このパーセンテージが低い場合は、サイトの内容が貧弱であったり、ユーザーがページ・ウェブサイトに求めているニーズを満たせていない可能性がありますので、内容を見直しましょう。

また、2ページ以上見ることでもエンゲージメント率は向上しますので、きちんと「次に見るべきページのリンクを貼る」ということを徹底することも大事です。

 

平均エンゲージメント時間

こちらもエンゲージメント率と近いですが、ちゃんとサイトを見てくれているか?という目安になります。
あまりにも少ない場合は、やはりコンテンツ自体が少ないか、読みたい内容を書けていないかですので、見直してみましょう。

 

キーイベント/キーイベントレート
(画面サイズによっては、右スクロールしないと見れません)

最近名称が変わりましたが、昔の名前は「コンバージョン」「コンバージョン率」になります。

つまり、「応募」などの重要な、成果につながる行動をした数がどのくらいあるか?ということです。(何をもってキーイベントとするか?はサイトごとに設定しているものなので、設定が分かる人に確認してください。)

 

実際、どのくらいキーイベント(コンバージョン)が発生しているのか?性別・年齢などで、大きく違いが出てしまっているのであれば、何か求人原稿の記載などで応募に向けての不安払拭が出来ていないことがあるのではないか?など、考えてみましょう。
ただし、基本的には1%程度あれば十分なものではありますので、10%や20%を目指すなどということはほぼ不可能なので、無理な目標は立てないように気をつけましょう。

 

ざっとではありますが、このような項目・観点で見てみると良いと思います。

 

その他、おすすめの確認項目としては「デバイス」です。
デバイスカテゴリで、どのようなデバイスでアクセスしてきているか?を見ることができます。基本的には採用ホームページなど、個人の方が見るサイトでは「モバイル」が多い傾向にありますが、念の為確認しておきましょう。

ユーザー>テクノロジー>ユーザー環境の詳細

 

を開き、またプルダウン(今回はデフォルトが「ブラウザ」になっているので、そこをクリック)で、「デバイスカテゴリ」を選択します。

ここで、モバイルが80%や90%を占めるということを確認できれば、採用ホームページのデザインや使い勝手を確認する際は、モバイルデバイスを最も重要視すべきだということが、データでも確認できます。

執筆時点(2024年6月)はこのような状況ですが、世の中のデバイスの変化も激しいですので、5年後、10年後には新たなデバイスが出て一気に塗り替わる可能性もあります。

毎日見る必要はありませんが、折りに触れ確認し、どのデバイスを最重要視すべきか?の参考にしてみてください。

まとめ

ということで、今回からは実際のツールの使い方も含めてお話していきます。
あくまで初心者向けではありますので、細かすぎる説明は省いている部分もありますが、まずは取っ掛かりとして、この記事でご紹介したレポートをご紹介した観点で見てみてください。

また、前回の記事で分析の考え方について触れましたが、分析はあくまで「分析でわかった事実を元に、より良い結果を出すために改善する」ためにやるものです。
今回の分析の観点のご紹介では、数値を見たあと実際にウェブサイトの改善に向けて考えるべきことも記載してみましたので、その点も参考にしてみてください。

次回は「集客」系のレポートについてご紹介していきます。
それでは、また次回「集客」編でお会いしましょう。

執筆者プロフィール

株式会社Task it 代表取締役(2016年より現職)
株式会社リクルートジョブズにて人材の営業、新規事業立ち上げ部署などで従事後、ウェブの可能性を感じ独立。ウェブ業界未経験の状態だったものの、ウェブ解析士取得から約1年半でウェブ解析士マスターまで取得。
現在は、個人・企業に対してウェブ解析士講座やGoogle アナリティクス講座の実施や、ウェブコンサルティングを行っている。
著書に「Googleデータポータルによるレポート作成の教科書」や「1週間でGoogle アナリティクス4の基礎が学べる本」がある。(ともに共著)

 

 

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連載コラム:全4回

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・第4回:エンゲージメント編

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