公開日:2024年5月30日
皆さん、こんにちは。人材業界出身のウェブ解析士マスター、佐々木と申します。
ウェブ解析士って、何?という方もいらっしゃるかと思いますので、簡単にご紹介しますと、
「ウェブを使って、『事業の成果』に導くためのお手伝いをする」ということができるようになるための、民間資格になります。
さて今回は、「人事向け 採用ホームページの分析」について、お話させていただきます。まずは、無料分析ツール「Google アナリティクス集中連載」ということで、ホームページの解析・改善で活用するGoogle アナリティクスについて説明してみようと思います。
今回は、全4回を予定しております。
・第1回:採用ホームページでの分析の考え方編
・第2回:ユーザー編
・第3回:集客編
・第4回:エンゲージメント編
あくまで「まずは、ココを見ましょう!」というレベル感にはなりますので、普段からバリバリ使っている方には物足りないかも知れませんが、「採用サイトはあるけれど、どう改善していいか分からない、ちゃんと見てもらえているか分からない…」そんな方にオススメの連載となります。
分析をするとは、まずは現状を知ることです。
●現状はどうなっているのか?どこが悪いのか?
●もしくはどこが伸びしろがありそうなのか?
こういったことを明らかにするのが、分析です。
わかりやすくお伝えするため、ダイエットを例にしてみます。ダイエットでは、毎日体重計に乗り、記録をつけることですし、さらに体組成計に乗って、筋肉量や脂肪量、基礎代謝などの状況を把握することです。
他にもお金で言うなら、レシートをちゃんともらって家計簿をつけ、費目ごとに現状何ににいくら使っているのかを把握することです。
なぜ分析をして現状を知る必要があるかというと、知ることで目標を立てたり、どこを改善すべきか?を探したり、改善策を実行してみて、うまく行ったかどうかを確認したりすることができるからです。
分析をせずに「勘」や「経験」でやってもたまにはうまくいくかも知れませんが、分析をして正しく効率的な打ち手を考え、改善していきましょう。
大事なこととしては、
「勘」と「経験」だよりとなり、それもない人は何をしたら良いか分からず、行き当たりばったりになってしまいます。
最終的には「定量(データ)」「定性(アンケートのコメントや聞き取り調査など)」両方必要になりますが、まずはデータを見ることから始めてください。データを見ることで、改善した際のインパクトの大きさから取り組みの優先順位も決めることができますし、実際に動く際にも説得力を持たせられます。
データは、実際に何かが起きた結果として記録されるものです。
例えばウェブサイトの特定のページの閲覧数(ページビュー数)が100だったとしたら、実際に、誰か複数名のユーザーが、合計で100回ページを閲覧している訳で、「データは事実を表している」と言えます。ただし、昨今個人情報保護が叫ばれる中で、なかなか「完全に正確なデータ」は取りづらくなってきています。
しかし、上記しましたようにデータがないと分析も出来ず、改善もままならないため、「設定自体が間違っていなければ、データは事実」と考えて良いと言えるでしょう。
さて「データを見て分析をすることで、正しい解決策にたどり着きやすくなる」ことはご理解頂けたかと思いますが、実際に採用ホームページのデータはどのように見れば良いのでしょうか?
採用ホームページも、広い意味では「ウェブサイト」の種類の一つです。
通常、ウェブサイトの分析においては「Google アナリティクス」が最もよく使われています。(大企業などではAdobe Analyticsなどもメジャーです。)
Google アナリティクスは、無料でウェブサイトの分析ができるツールで、現在はバージョン4つ目の「Google アナリティクス4(通称GA4)」が利用可能です。無料であるため、多くのウェブサイトにデフォルトのように設定されており、おそらく読者の皆さんの採用ホームページにも設定されているかと思います。
しかしながら、他のデータ解析ツールが導入されている場合もあるかと思いますし、Google アナリティクスについても設定をしなければ自社採用ホームページのデータは取れませんので、社内の情報システム部や採用ホームページの制作会社に相談してみてください。
Google アナリティクスのログイン方法については、番外編に記載しておきますので、必要な方はご確認ください。
採用ホームページもウェブサイトですので、基本的にはウェブサイトの分析方法に則って分析すべきだと考えます。
ウェブサイトの分析手法はいくつかありますが、最も代表的なものは「ユーザー」「集客」「行動(エンゲージメント)」「収益」と分けて考える手法です。今回の連載も、まずはこの考え方に則って解説していきます。
そもそも、どんな人がウェブサイトに来ているのか?年齢、性別、地域、デバイスなどを確認する
ユーザーはウェブサイトにどこから来ているのか?検索で来ているのか?広告で来ているのか?他のサイトから来ているのか?を確認する
ユーザーはどんなページを見ているのか?、何ページくらい見ているのか?どのページに着地しているのか?どのくらい滞在しているのか?ちゃんとスクロールをして読んでみたり、資料ダウンロードをしたりしているのか?を確認する
(今回は採用ホームページが対象なので、基本ないが)どのような商品が売れているのか?単価はいくらなのか?を確認する
今回は考え方を説明していますが、次回「ユーザー」を次々回「集客」を、そして最終回で「エンゲージメント」を解説していく予定ですので、今回はこのくらいにしておきますね。
また、「収益」については、通常のウェブサイトであれば分析をし対策を練りますが、採用ホームページにおいては使いませんので、今回の連載からも対象外とさせて頂きます。
基本的には、上記で説明した「ウェブサイトの分析」の考え方で分析していけば、きちんと改善につながる分析はできると思っていますが、
私が採用ホームページの分析と、通常のウェブサイト(ホームページ)を分析してみて、大きく違うなと思った点は以下です。
●リピート購入がない(応募は基本1回きり)
●買いたい!(つまり仕事を探している)と思っている時しか来ない
●ちょうどよい案件がなければ、応募しない
という点が大きく違うと感じています。
通常であれば、一度購入してくれた方に対してもメールや広告から再度ウェブサイトに訪問してもらい、別商品を買ってもらったり、リピート購入をしてもらったりするものですが、採用においては、基本的には一生で一度しかその企業には応募しません。
また、通常のウェブサイトであれば、商品に関連する様々なコンテンツを用意して、「買う気がそこまでない時」でもサイト訪問をしてもらい、新商品などに気づいてもらうための行動をしますが、採用ホームページについては、「仕事を探している時」しか見ません。
また、通常の商品購入であれば(もちろんこだわる人はこだわりますが…)例えば機能的には最高に欲しい商品だが、色がイマイチ…と思っても、まぁいいかと思って買ったり、いわゆる「ジャケ買い」のように、あまり深く検討せずに買ったりすることもままありますが、
こと採用ホームページにおいては、「応募して採用されたら、実際に働く」ことになる訳なので、そのあたりの条件精査はシビアになり、どんなに働いてみたい憧れの会社だったとしても、条件が合わなければ応募しません。
そのため、候補者が仕事を探しているタイミングと合わなければ意味がないので、常に「今この瞬間仕事を探している人」を新規で集め続けることが大事ですし、せっかく興味を持って来てくれた人が少しでも応募できるように、案件はもれなく載せておく必要がありますし、それだけ貴重な、数限りある候補者なので、来てくれた人をきっちり口説かないといけないです。
また先程リピートはないと言いましたが、例えば「今は求人に空きがないけれど、絶対にいつかココで働きたい!」と思ってもらうことができれば、「登録制度」を用意しておいて、一度目は登録制度への登録のための応募、二度目は希望の案件が空いた時の応募と、リピートをしてもらうことも限定的にですができます。
上記しましたように、「商品の購入」よりも重い「自分がそこで働く」という意思決定をしようと思って来てくれている、得難い方たちなので、ぜひこの連載を参考に分析をして改善を行い、嫌な思いをさせずスムーズに応募まで至ってもらえるようにしていきましょう。
自社採用ホームページのGoogle アナリティクスにログイン出来ていますか?
次回から、画面操作も含めてお話するので、ぜひ自社採用ホームページのGoogle アナリティクスにログイン出来るように準備をお願いします。
まずは、Google アナリティクスにアクセスしてみてください。https://accounts.google.com/signin/v2/identifier
Google アナリティクスは「Google アカウント(Gmailなど)」と紐づいて、どのサイトのデータを閲覧できるのか?という権限付与がされていますので、ログインをします。
Google Workspaceを使ってメールシステムを構築している企業であれば、自社のメールアドレスがそのままGoogle アカウントになっていますが、そうではなくて業務で使っているGmailなどない場合は、この段階で一度、情報システム部などに「Google アナリティクスを閲覧するために、Google アカウントが必要だが、どうしたら良いか?」と確認をしてみてください。
Google アカウントの件がクリアできて、ログインが出来たら以下のような画面になっていると思います。
赤丸の部分が、「どのウェブサイトのデータを見ているか?」を表している部分ですので、サイト名やURLなどを確認してみましょう。
ただし、ここはGoogle アナリティクスを導入した方がフリー記述で記載する部分なので、知らない人が見ても理解不能な場合がありますので、ここでも不明点がありましたら、情報システム部や採用ホームページ制作会社に確認してみましょう。
また、複数のウェブサイトのGoogle アナリティクスを閲覧できる権限をもらっている場合、同じく上記赤丸部分がプルダウンになっていますので、プルダウンの選択肢の中から採用ホームページのデータを探してみましょう。
最終的に、Google アナリティクスにログインし、自社採用ホームページのデータが見れればOKということになりますが、このあたり、設定の仕方などケースバイケースで、記事では一概に説明することが難しいため、うまく表示されない方は情報システム部や採用ホームページ制作会社に相談してください。
また、データを閲覧する権限をもらうためには「Google アカウント」が必要です。採用ホームページ制作会社に相談したり、権限付与をお願いする前に、先に社内で「Google アカウント」の準備を進めましょう。
それでは、また次回「ユーザー」編でお会いしましょう。
株式会社Task it 代表取締役(2016年より現職)
株式会社リクルートジョブズにて人材の営業、新規事業立ち上げ部署などで従事後、ウェブの可能性を感じ独立。ウェブ業界未経験の状態だったものの、ウェブ解析士取得から約1年半でウェブ解析士マスターまで取得。
現在は、個人・企業に対してウェブ解析士講座やGoogle アナリティクス講座の実施や、ウェブコンサルティングを行っている。
著書に「Googleデータポータルによるレポート作成の教科書」や「1週間でGoogle アナリティクス4の基礎が学べる本」がある。(ともに共著)