【第6回-前編】人事のためのウェブマーケティング講座

集客方法③-1
検索キーワードの考え方、上位の狙い方 ~前編~

前回の振り返りと今回のお話について

前回は、集客における「Referral(リファラル)」の考え方や増やし方についてお伝えしました。今回は、多くの求人サイトにおいて最大の集客手段である(そうあって欲しいという気持ちも込めて)「検索(Organic Search)」について、考え方や増やし方をお伝えしていきます

SEOは『王道』がある!?

自然検索(Organic Search)での流入を増やすためには、「SEO(Search Engine Optimization)」が必要となります。

非常に有名な言葉なので、ある程度は皆様もご存知かと思います。「SEO対策」と検索していただくと記事もたくさんありますし、皆さんも何かしら対策をしたことがある、もしくは頼んだことがあるのではないでしょうか。

有名な検索サイトはGoogle、Yahoo!とありますが、現時点ではGoogleのロジックに対応ができれば、対応としては問題ありません。(yahoo!も裏側は2011年からGoogle検索を使っています)

 

正直、SEOだけでも連載コラムが書けてしまうほど様々な考え方や対策があるのですが、

●かなりテクニカルな部分が多い
●対策すべき内容が変わることが多い

という点から、このコラムでは「SEOは王道を実行すべし」とお伝えしていきます。

 

SEOの王道とは、つまり
「ユーザーの気持ちになり、そのキーワードで検索したときに知りたい内容、見て満足できる内容を意識してページを作成する」ということです。

先程、「対策すべき内容が変わることが多い」と述べましたが、時代によって対策が全然変わってきています。

分かりやすい例で言うと、Google登場当初は「他サイトから多くのリンクを貼られていること(論文で言う、「参照」が多いこと)」が、価値のあるページつまりSEO上位のページを決める条件でしたが、今ではそこまで重視されていません。

Google側も「●●アップデート」と定期的にロジックをアップデートし、どんどん検索のロジックを進化させています。そのアップデートごとに、その時その時で「こういう風にすべき」という点はありますが、王道=原理原則を理解して、そこに真摯に向き合う事が実はもっとも大事なんです。

 

 

■なぜ王道が大事なのか

なぜ王道が大事なのか?というと、王道はそう簡単に変わらないからです。
一つひとつのアップデートに全て対応するのは、予算的にも工数的にも、おそらく現実的ではありません。ですが、王道に倣った対策をしておけば、「いつかGoogleのロジックが追いついて、自社の良いページを上位に上げてくれる」と、どっしりと構えておくことができます。

 

なぜ、王道が変わらないのか?というと、Googleは、基本広告で儲けています。広告で儲けるためには、広告が表示されたりクリックされる必要があり、そのためには、ユーザーがGoogle検索を使い続ける必要があります。そのためには、ユーザーにGoogle 検索だと、知りたい内容が知りたい順に出てくるから使いやすい!ずっと使っていたい!」と思わせることが大事なので「このキーワードでユーザーが検索した時に、一番ユーザーが満足する(と思われる)順番に、順位を並べ替えるロジックを作っている」というのが、根底にある考え方です。

 

つまり、先程言った「ユーザーの気持ちになり、そのキーワードで検索したときに知りたい内容、見て満足できる内容を意識してページを作成する」という王道のSEO対策を実施し、本当に価値のある内容であれば、いつかGoogleのロジックが、皆さんの良いページを発見して、上位にあげてくれるとも言えるのです。

 

もう少し細かく言うと、情報量、説明の丁寧さ、トピックに関連するキーワードがどれくらい使われているかや、権威性(素人ではなくちゃんと正しい知識を持っている人が書いているのか?)、はたまたサイトの使いやすさ見やすさなどなど、評価項目はたくさんありますが、この連載でも度々お伝えしている「ユーザーの気持ちになる、気持ちを理解する」ということを徹底していくと、それがSEOにもつながっていきます。

SEO対策って「検索結果1位」を取ること?

SEO対策のよくある失敗として「何でもかんでも1位を目指そうとする」ということがあります。あわよくば全て1位が望ましいという気持ちは理解できますが、実際難しいです。

1位を目指すべき(目指せる)キーワードは「指名系キーワード」。つまり「自社名や自社ブランド名」が入った検索は、皆さんのサイトが公式サイトであり、(情報がしっかりと掲載されていれば)1位を目指せるのですが、それ以外は基本的には求人メディアの方が上位に来る可能性が高く、1位を狙うのは難しいです。

 

SEOの理論のところでご説明した通り、ユーザーの気持ちになって考えた時に、

♥例えば「カフェ バイト」という単語で検索した場合(指名系キーワードではない検索)
・あるカフェをやっている一企業の採用ホームページが検索1位になっている
・様々なカフェバイトの求人案件が載っている求人メディア
どちらがユーザーに喜ばれる確率が高いか?と言われると 普通は、様々な選択肢を見比べられる求人メディアの方が、喜ばれる可能性が高いですよね。

♥「カフェリクオプ バイト」(指名系キーワード検索)の場合
同じ検索結果の順位でも、やはり「カフェリクオプ」の公式サイトの求人情報や、公式の求人ホームページが出てきた方が嬉しいとなります。

このように、指名系キーワードは、公式サイトである皆さんが1位を取れる可能性が充分にありますが、指名系でないものは、あくまで「上位」や、10位以内(検索1ページ目に入る)をまずは狙ってください。

また、上位になればなるほど見られる可能性は高まりますが、皆さんもご自身で検索される際、本当に調べたいテーマなら何サイトも見ますよね。
つまり「1位じゃないと見られない」ということではないので、全て1位を目指す必要はありません。

 

SEOは「相対評価」での戦いです。
どんなに皆さんが良いページ・良いサイトを作っても、他のページ・サイトがそれを超えてきたら負けてしまいますので、選択と集中を行い「勝つべきキーワードで勝つ」という気持ちを持っておいてください。

SEOで狙うべきキーワード

では、「何が勝つべきキーワードなのか?」というと「自社のターゲット(求職者)が検索するキーワード」です。

 

■ターゲット(どのようなコンディションの人を狙うのか)

まず、ターゲット選定は過去にも解説しましたし、皆さんの頭の中で想像が出来ていると思いますので、そのターゲット(求職者)が自社の求人原稿・採用ホームページにたどり着くためには、どんな検索をするだろう?と考えてみてください。

同じターゲット(求職者)でもその人の状態(コンディション)によって検索するキーワードが変わりますので、コンディションも含めて狙いを決めてください。

 

例えば

♥「求人があるのかないのか?」を気にしている段階であれば、
「リクオプカフェ バイト」かもしれません。

♥「リクオプカフェで働こうかな、どうしようかな」と思っている段階であれば、
「リクオプカフェ バイト 雰囲気」「リクオプカフェ バイト 仕事内容」

♥「もう働くことは大体決めたので、応募しよう!」と思っている段階であれば、
「リクオプカフェ 応募」と検索する

・・・というように、どんなコンディションの人が、どんな検索キーワードで検索するのか?を考える必要があります。

 

また、サイト全体としては1つではなく複数設定してよいのですが、基本的に「1つのページで狙うのは、1つのキーワード(ターゲット)」にしてください。(同義語は除く)

 

例えば
「カフェ 求人情報」というキーワードを狙うページと、
「カフェバイト メリット」というキーワードを狙うページは、それぞれ別に用意する。ということです。

●●とは?」のような、本当に何も分かっていない人が検索するようなキーワードであれば、様々な話題で幅広く網羅的に説明があった方が喜ばれますが「カフェバイト メリット」で調べた人は、基本的にカフェバイトのメリットが、必要十分に、簡潔に書かれている方が満足しますよね。

ですので、その分しっかりとページを増やして、それぞれのページで狙いたいキーワードを定めて、ページ作成そしてSEOをしていく必要があります。

 

では、狙うキーワードはどのように考えれば良いのでしょうか。

 

■店舗の「地域名」が入ったときは狙い目

先程、「カフェ バイト」での上位表示は難しいとお伝えしましたが、例外があります。それが「カフェ バイト 地域名」という検索がされたり、スマホでGPSの現在地を使った検索がされた時です。

その場合には、全国区で展開している求人メディアでも、そのエリアに掲載がなければ、皆さんの求人ホームページ原稿が上位に表示される可能性があります。

対策として、求人情報に店舗名を入れることは当然ですが、原稿内に意識的にエリア名や近隣の駅名、検索されやすそうな地名なども入れてみましょう。
※もちろん、全く関係ないものは評価が下がりますので、入れないでくださいね。

 

■3単語/4単語の検索を狙う

また、「カフェ バイト」は無理だとしても狙える可能性があるのが、3単語、4単語での検索です。

一つ前の節の「カフェ バイト 地域名」もそうですが、「カフェ バイト 動機」「カフェ バイト 初めて」「カフェ バイト 千葉 オープニング」など、3単語、4単語で検索する人も多くいます。

たくさんのページを作ることは大変ですが、自社の求人の応募につながると思ったキーワードがあれば、ぜひページを作ることも検討してください。

 

 

 

※キーワードの広げ方については、下記「無料で使えるキーワード探しツール5選」をご参照ください。

SEO対策には、なぜ「コンテンツページ」が必要なのか?

ここまで、「自然検索(Organic Search)」を増やすための基本的な考え方をご紹介してきましたが、これらの事を「求人原稿ページ」だけで実現するのは正直難しいです。

その理由をシンプルに言うと「SEO対策に必要なだけのコンテンツを、1つの原稿に詰め込むことが難しい」からです。

 

一般的に、検索上位表示を狙って、「その検索されたテーマに対して、必要十分なだけの説明をする」ためには、概ね3,000文字〜4,000文字程度の文章量が必要だと言われています。(Googleからの公式発表情報ではありませんが、経験則的に言われていることです。)

 

求人原稿ページでも、仕事内容などで文章量を増やすことは不可能ではありませんが、基本的には求人原稿ページの役割は、「勤務地」「給与」「勤務形態」「勤務時間」「休日」などの、店舗や職種によって変わる内容を明示するためのものであり、仕事内容などがあまりにも長すぎると、1つの原稿としては情報過多になってしまいます。

 

また、仮に仕事内容などで文章量を増やした場合、店舗ごとにそこまで内容が変わる訳ではないかと思います。そうすると、「重複コンテンツ」としてSEO対策として悪く評価されてしまう可能性もあります。

 

そのため、「求人原稿ページ」だけでなくぜひ「コンテンツページ」を作ることを検討してみてください。

 

■コンテンツページ

コンテンツページと言っているのは、例えば

♣各職種ごとの仕事内容
♣アルバイトスタッフの1日の過ごし方
♣先輩従業員インタビュー

など「求人原稿ページ(店舗・職種・時間・給与・待遇が書かれたページ)」とは違う、個別の案件に紐付かないページのことです。

理想としては、求人募集専用の「採用ホームページ」があり、その中に「求人原稿」と「コンテンツページ」の両方があって「ウェブサイトとして充実している」ことですが、難しい場合は、コーポレートサイトやブランドサイトなど、求人募集専用でないウェブサイトの中に、そういったコンテンツがあっても問題はありません。

また、これは後日ご紹介する予定の内容とも関わりますが「求職者に求人案件をより理解してもらい『応募したくなってもらう』」という目的でも使えるので、コンテンツページが全くない方は、ぜひ作成を検討してみてください。

内容としては「仕事内容の説明」や「先輩インタビュー」ですが、必ずコンテンツを作る際は「狙いたいキーワード」を意識して作ってください。

 

■動画SEO

コンテンツ繋がりで言うと「動画」を作ることも有効です。今回解説しているSEOは、あくまで「ウェブページの検索」に対してのSEOですが、最近では動画サイト上でのキーワード検索や、Google検索(ウェブページの検索)でも動画が検索結果として出てくることがあります。

♣動画で検索された時にも気づいてもらえるようにする
♣他社がやっていない分、動画を出して気づいてもらう確率を上げる
という観点で、動画を作成することも有効です。

さて、今回かなり長くなってしまいましたので、ここまでとさせていただきます。

今回のまとめ&次回について

今回(SEO前編)のまとめとしては、

SEOは王道で

全て1位は無理なので、取るべきところで1位を取る、狙う

ターゲット/キーワードをしっかりと選ぶ

SEOをきちんとやるためには、「コンテンツページ」が必要

という話をしました。

 

ここまでの内容を元に、まずは狙うべきキーワードを決め、そのキーワードを意識したコンテンツを作って、公開して頂くと、まずは、最初のSEO対策は完了です。

ですが、SEOは途中でも言ったように、

・相対評価
・Googleが決めた評価

ですので「公開した後」もとても重要です。

次回は、引き続きSEOについてお話しますが、「公開した後」の対策についてお伝えします。

無料で使えるキーワード探しツール5選

■キーワードの広げ方

SEOで狙うべきキーワード」の章に記載したキーワードは、なかなか最初のうちは思いつくのも大変だと思います。
そこで、いくつか参考になるツールをご紹介します。

 

♠ラッコキーワード(検索サジェスト)

https://related-keywords.com/

こちらは、「検索サジェスト」が閲覧できるツールです。「検索サジェスト」というのは、Google等で検索をするとき、1単語目を入力すると、いくつか検索キーワードの候補が出ますよね。その候補を一覧として出してくれます。

どのくらい検索されるキーワードなのか?(検索ボリューム)がわからないので、以下ツールとの併用が必要ですが、かなり大量にキーワードの候補を増やすことができます。

 

♠Google キーワードプランナー

こちらは、「Google広告」の管理画面内で使える機能であり、
有料で広告を使っていないと、完全には使えないツールになりますが、
キーワードの実際の予測検索数(検索ボリューム)などを知ることができます。

 

♠Google トレンド

https://trends.google.co.jp/trends/?geo=JP

こちらは、先程のキーワードプランナーとは別の、Google系ツールとなりますが、Google トレンドでは、その名の通り「トレンド」を掴むことができます。あるキーワードと別の候補キーワード、どちらがより検索されているか、時系列で見た時に、検索は高まってきているのかあまりされなくなって来ているのか。などを知ることができます。

 

♠aramakijake(アラマキジャケ)

https://aramakijake.jp/

こちらは、検索ボリュームを知ることができるもう一つのツールです。 GoogleとYahooでそれぞれ何アクセスくらい来そうか?などのデータもあります。なかなか、自分の思いつきだけでSEO用の単語候補を増やすのは難しいので、ご紹介したツールを使って効率的に探していきましょう。

執筆者プロフィール

 

株式会社Task it 代表取締役(2016年より現職)
株式会社リクルートジョブズにて人材の営業、新規事業立ち上げ部署などで従事後、ウェブの可能性を感じ独立。ウェブ業界未経験の状態だったものの、ウェブ解析士取得から約1年半でウェブ解析士マスターまで取得。
現在は、個人・企業に対してウェブ解析士講座やGoogle アナリティクス講座の実施や、ウェブコンサルティングを行っている。
著書に「Googleデータポータルによるレポート作成の教科書」や「1週間でGoogle アナリティクス4の基礎が学べる本」がある。(ともに共著)

 

 

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