2025年もさまざまな人事関連の法改正が予定されています。
スムーズに対応できるよう、事前に確認しておきましょう!
・更新日:2025年1月28日
・記事提供:株式会社フロッグ様
2025年もさまざまな人事関連の法改正が予定されています。
2024年に比べて改正の数も対応すべき事項も多いことから、
2025年の法改正は、企業への負担が大きくなる可能性があります。
(参考:2024年人事関連の法改正)
以下で、法改正の具体的な内容と企業が行うべき対策について詳しく解説していきます。
今回の育児・介護休業法における法改正は、
4月と10月の2回に分けて以下の内容の改正が実施されます。
1~3、5️〜7の事項は全企業、4は従業員300人以上の企業が対象です。
しっかりと内容を把握した上で対策を講じる必要があります。
<2025年4月1日施行>
取得事由や対象者が拡大されます。
全ての企業において就業規則の見直し等が必要です。
2.残業免除の対象拡大【義務】
所定外労働の制限 (残業免除)の対象が拡大されます。
全ての企業において就業規則の見直し等が必要です。
短時間勤務制度を利用できない業務の労働者への代替措置にテレワークが追加されます。
選択する場合は就業規則の見直し等が必要です。
3歳未満の子を養育する労働者が、テレワークを選択できるように措置を講じることが企業の努力義務となります。
実施する場合、就業規則の見直し等が必要です。
努力義務は数年後には義務となるため、今から準備しておく必要があります。
男性労働者の育児休業取得率等の公表義務 の適用が拡大されます。
全ての企業において就業規則の見直し等が必要です。
介護休暇の取得要件が緩和されます。
労使協定を締結している場合は就業規則の見直し等が必要です。
介護休業や介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるようにするため、
全ての企業において以下のいずれかの措置を講じる必要があります。
上記4つのうち複数の措置を講じるのが望ましいとされています。
個別の周知や意向の確認、情報提供が義務付けられます。
全ての企業において以下の措置を講じる必要があります。
企業は、介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、
介護休業制度等に関する以下の事項の周知と、
制度利用の意向確認を個別に行う必要があります。
労働者が介護に直面する前の早い段階で、
介護休業や介護両立支援制度等の理解と関心を深めるため、
企業は以下の事項について情報提供しなければなりません。
要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう、
措置を講じることが努力義務化されます。
実施する場合、就業規則の見直し等が必要です。
<2025年10月1日施行>
育児期の柔軟な働き方を実現するための措置と、
対象となる従業員への個別周知、意向確認が義務付けられます。
全ての企業において以下の措置を講じる必要があります。
企業は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対して、
以下5つの選択肢の中から2つ以上の措置を選択して制度化する必要があります。
企業は、3歳未満の子を養育する労働者に対して適切な時期に、
以下の事項の周知と制度利用の意向確認を個別に行う必要があります。
育児予定・育児中の労働者の仕事と育児の両立について、
個別に意向を聴取し、配慮を行うことが義務付けられます。
全ての企業において以下の措置を講じる必要があります。
企業は、妊娠・出産等の申出時と子が3歳になる前の適切な時期に、
以下の事項について、労働者の意向を個別に聴取しなければなりません。
<聴取した労働者の意向についての配慮>
聴取した労働者の仕事と育児の両立に関する意向について、
自社の状況に応じて配慮する必要があります。
参照:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」 2025年1月15日時点
2025年4月1日より、「65歳までの雇用確保」が完全義務化されます。
これにより、定年を65歳未満に定めている企業は、
2025年3月31日までに以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
「65歳までの継続雇用制度の導入」については、
これまで対象者を限定する経過措置が認められていました。
この経過措置期間が2025年3月31日に終了するため、
継続雇用の対象者を限定していた企業は、
4月1日以降、希望者全員に対して65歳までの雇用機会の確保が義務化されます。
雇用契約書や就業規則の改定を行い、雇用制度を整備しましょう。
(参照:厚生労働省「高年齢者雇用確保措置を講じる必要があります」)
2025年4月1日から、高年齢雇用継続給付の支給率が、
賃金の最大15%から最大10%に縮小されます。
厚生労働省/令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します/2025年1月15日時点
高年齢雇用継続給付とは、60歳到達時点に比べて賃金が75%未満に低下した60歳以上65歳未満の労働者に支給される給付です。
60歳以降の賃金をこの給付金を加味した金額で設定している企業では、
改正後の労働者の収入が減少してしまうため対策が必要です。
基本賃金を引き上げる、別途手当を付けて上乗せするなど、
総支給額が従来と変わらないよう賃金制度の見直しを検討しましょう。
(参照:厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」
2025年4月1日より、障害者雇用除外率が10%引き下げられます。
(※現在除外率が10%以下の業種は対象外)
厚生労働省/障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について/2025年1月15日時点/https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf
これにより、除外率設定業種の企業は、障がい者の雇用を増やす必要がでてきます。
障がい者雇用においては、障害者雇用支援サービスを利用するのも選択肢のひとつです。
また、この機会に規定を見直すなど、障がい者が働きやすい職場環境を整えましょう。
(参照:厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
2025年の人事関連法改正についてお伝えしました。
育児・介護休業法では、仕事と家庭を両立できる
柔軟な働き方を実現するための改正が多く実施される予定です。
就業規則の見直しや制度の整備など企業の負担が大きくなる一方で、
従業員が働きやすい職場環境を構築することは、
定着率の向上や企業ブランディングの確立にもつながります。
人事担当者の方は、今回の法改正の内容を理解して、
施行までにしっかりと対策を行いましょう!