総裁選で話題の「解雇規制緩和」について解説!

更新日:2024年10月25日
記事提供:株式会社フロッグ様

 

 

先日行われた自民党総裁選における立候補表明で、
小泉氏の発言により「解雇規制の緩和」が話題になりました。

解雇規制とは、雇用主が労働者をいつでも自由に解雇することを制限する法的規則です。
採用とも深くかかわってくるルールですので、ここで一度おさらいしておきましょう!

解雇とは?

解雇規制について理解する前に、「解雇」について確認しておきましょう。

 

<解雇の種類>

「解雇」とは、雇用主からの一方的な労働契約の終了を指し、その種類は、大きく分けて以下の4つがあります。

 

 

<解雇に関するルール>

解雇において、労働契約法第16条では「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、労働者をやめさせることはできない」と定められています。

解雇は、いつでも自由に行えるものではなく、法律によって定められたルールに則って行う必要があるのです。

具体的なルールについても見ていきましょう。

 

1.特定の理由においては解雇ができない

法律で禁止されている主な解雇理由には、以下のようなものがあります。

 

2.有期労働契約の期間中は原則解雇できない

有期労働契約については、やむを得ない事由がある場合を除き、契約期間の途中で従業員の解雇はできないこととされています。

 

3.整理解雇の場合、4要件に当てはまっている必要がある

経営不振などの理由による人員削減のための解雇を整理解雇(リストラ)と言います。
雇用主側の事情による解雇のため、次の4つの要件を満たす必要があります。

 

4.退職勧奨の場合、退職を強制してはならない

退職勧奨とは、会社側から従業員に退職を促して、同意のもと従業員に退職してもらうことを言います。退職の勧めに応じるかどうかの意思決定権は従業員側にあるため、退職の強要にあたらないように留意する必要があります。

 

5.解雇する場合、解雇事由の明示が必要(労働基準法)

会社は、従業員がどのような事由で解雇されるかについて、あらかじめ就業規則に明示しておく必要があります。
懲戒解雇の場合、明示した事由に該当しない限り解雇できない点に注意が必要です。

 

6.解雇する場合、少なくとも30日前の予告が必要(労働基準法)

解雇を行う際には、少なくとも30日前に解雇の予告をしなければなりません。
例え、合理的な理由があったとしても、予告を行わない場合には、解雇予告手当として30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。

解雇規制緩和のメリット・デメリット

解雇規制の緩和は雇用の流動性向上につながるといわれていますが、企業にとってどのような影響があるのでしょうか。

規制緩和によって生じ得るメリットとデメリットについて見ていきましょう。

 

1.メリット

企業側にとって一番のメリットは、社員を解雇しやすくなるため、採用のリスクが下がることにあります。問題のある社員や成果を出さない社員への切り札的な対応として、「解雇」の選択肢が増えることになります。

また、評価と賃金の間に生じていたねじれの解消も期待できます。
人事評価制度を年功序列から成果報酬型へ移行する流れがありますが、既存社員の解雇や給料減額が難しく、なかなか成果と報酬が連動しないという企業も。解雇規制緩和が解消の第一歩となる可能性があります。

よりマクロな視点で言えば、従来よりも解雇される可能性が高まることから、従業員の自発的なキャリア自律が促され、転職市場の活性化が期待できます。
企業への帰属意識が薄れ、転職希望者が転職市場に流れてくるでしょう。

 

2.デメリット

社員の立場から見ると、解雇規制が緩和されれば失業のリスクが高まることになります。雇用への不安感が高まれば、組織内でさまざまな噂や不信感が生まれたり、社員の生産性に悪影響が生じたりする可能性も考えられます。

また転職市場が活発になるため、自社の優秀な人材も流出しやすくなります。
従来のような一から教えて育てる長期的な人材育成では、育成コストの回収が難しくなることが懸念されます。人材の入れ替わりが激しくなることから、採用コストの増加も避けられないでしょう。

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