人事担当者が知っておくべき採用・選考時のルール
(求人原稿の書き方)

公開日:2024年12月17日

従業員を募集する際は、どのような法律に注意すべきなのでしょうか。
採用ミスマッチを減らすために条件を明示することは必要ですが、知らぬ間に法律に違反した採用活動を行わないよう、よく確認しておくことが大切です。

厚生労働省では、採用・選考時のルールとして下記4つを提示しています。

1 募集・採用における年齢制限の禁止について
2 募集・採用における性別による差別の禁止について
3 公正な採用選考について
4 募集・採用における障害者への差別禁止と合理的配慮の提供について

引用元:厚生労働省「採用・選考時のルール

採用選考実施にあたり禁止されていることは、求人原稿を書くときにも留意が必要です。
本コラムでは
日頃から質問を多くいただく「年齢」と「性別」についてご紹介します。

募集・採用選考実施にあたり禁止されていること ①年齢制限

募集・採用における年齢制限の禁止について

平成19年10月から、事業主は労働者の募集および採用について、年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないこととされており、年齢制限の禁止が義務化されました。

※引用元:厚生労働省「募集・採用における年齢制限の禁止について

ただ、例外的に年齢制限を認められる場合があります。

上記のケースを除き、年齢による合否判定は不可です。

※引用元:厚生労働省「(事業主の方へ)その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」P.7

 

それでは、ご相談の多い質問をご紹介します。

 

例1:チャットボットで自動設定をする機能やツールの場合は?

たとえば、最近はチャットボットで自動で面接設定をする機能やツールが増えてきていますが、その際のシナリオにも適用されるのでしょうか?

弊社でも応募者への質問項目を事前に設定することで、ヒアリング・選考を実施するチャットボット「らくロボ プラス」を提供しています。

Q:チャットボットで自動選考する場合のシナリオを考えています。弊社は年齢で一次選考していて、55歳以上は原則断ってます。55歳以上は不採用としたいのですが、可能でしょうか?

A:年齢による合否決定は法律で原則禁止されています。たとえば、リクオプ商品の「らくロボ プラス」のシナリオも同様です。年齢でスクリーニングするような項目は、年齢のみで判断していると捉えられる可能性があります。年齢のみで判断することは貴社のイメージにも関わりますので推奨いたしません。

 

例2:建設業の場合

Q:建設作業員を募集します。これまではハローワークで募集していたのでWEBの募集は初めてです。求人原稿作成にあたって、効果的な原稿記載方法をご提案いただきたいです。

A:労働安全衛生法で高所作業は18歳以上と定められていることを記載してください。年齢上限を定めた法律はありませんので幅広い世代が活躍中である旨も添えてください。
※厚生労働省「労働基準法における未成年者・年少者・児童の区分と保護規定

 

例3:高校生不可の場合

Q:当社はカフェを運営していますが、高校生の募集は行っていません。
求人原稿に「
高校生卒業以上」と条件を定めても良いでしょうか。

A:高校卒業などの学歴制限は年齢制限には当たりませんので、「高校卒業以上」といった条件を定めることは可能です。ただしこれをもって「18歳以上」という年齢制限は不可です。

 

その他、詳しくは厚生労働省のホームページ「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A」をご参照ください。

 

募集・採用選考実施にあたり禁止されていること ②性別

続いて「性別」について、ご紹介します。

男女雇用機会均等法は、労働者の募集及び採用に係る性別を理由とする差別を禁止し、男女均等な取扱いを求めています(法第5条)。
また、業務上の必要性など、合理的な理由がない場合に、募集・採用において労働者の身長・体重・体力を要件とすること、労働者の募集・採用、昇進、職種の変更をする際に、転居を伴う転勤に応じることを要件とすることは、間接差別として禁止されています(法第7条)。

つまり、性別を理由に採用を断ることは法律違反です。

ただし、業務を行う上で片方の性別でなければならない理由がある以下は適用外職種として許可されています。

 

法違反とならないかどうかは個別具体的に判断を行う必要があるので、お近くの都道府県労働局雇用環境・均等部(室)にご相談ください。また、詳細は引用元にてご確認ください。

引用元:厚生労働省「男女均等な採用選考ルール」 P7 法違反とならない場合

 

それでは、ご相談の多い質問をご紹介します。

例1:警備業で求人原稿作成をする場合は?

Q:警備員の応募が採用に繋がりません。対象外の方からの応募が多く担当者の工数がかかっています。求人原稿の内容を見直したく、効果的な求人原稿のご提案をいただけませんか?

A:警備員は防犯上の理由から男性のみであると明記することが可能です。
また、年齢も警備業法で18歳以上と定められていることを原稿に記載いただくと良いと思います。
※厚生労働省「労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている場合(2号)

 

例2:高校卒業後に就職を希望する学生を採用する場合は?

Q:教えてください。
高校卒業後は進学せずに地元で就職したいと思っています。どんな企業で働くかまだ決めてません。どこで求人を探したら良いでしょうか。

A:卒業前年7月1日以降に各高校に以下条件を満たした求人票が送られます。
①ハローワーク確認済みの求人票の募集
②求人広告に所轄のハローワーク名、求人受付番号の記載
③学校またはハローワークを通じて応募の受付を行うこと

※詳細や最新情報は、厚生労働省「新規学校卒業者の採用について | 東京労働局」等のサイトにてご確認ください。

 

いかがでしたでしょうか?
皆様の採用活動の一助となれば幸いです。

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