公開日:2024年7月17日
前回は実践編の初回として、ユーザーについて分析するということをお伝え致しました。
採用ホームページを含め、ウェブサイトの分析では、まずは「誰が見に来ているのか?」というユーザー分析が大事ですが、次に考えるべきは「集客」つまり、より多くの求職者を集めてくるために、さらに言うと、出来れば応募につながる求職者を集めてくるために、まずは現状として、どこからどのくらい集められているのか?応募につながっている集客元はどこなのか?その集客元はもっと増やすことはできるのか?他に新たに開拓できる集客元はないのか?などを考えていくのが、集客分析です。
では、今回もぜひ一緒に操作をしながら読み進めていってください。
集客分析では、いくつか専門用語が出てきますので、事前にご紹介しておきます。
全て、「求職者がどこから自社採用ホームページにやってきたのか?」という集客元を表す言葉です。
それぞれの用語の違いは、粒度の違いとなっており、粒度が大きい順に、
チャネル>メディア>参照元 となります。
つまり、「参照元」をいくつか集めて分類したものが「メディア」、そして「メディア」をいくつか集めて分類したものが「チャネル」ということです。
この前提をお伝えした上で、再度一つずつ用語説明をしますが、
メディアをいくつか集めた集客元(流入元)の大分類。
「Organic Search(検索エンジン経由で入ってきた)」や「Paid Search(リスティング広告経由で入ってきた)」、「Organic Social(広告以外のSNS投稿などから入ってきた)」
というように、大まかな分類でどこからどのくらい来ているのか?を確認できる。
参照元をいくつか集めた集客元(流入元)の小分類。「organic」「cpc」「social」など。
次に紹介する参照元と併せて、「参照元/メディア」として併記した状態でよく利用する。
求職者が自社採用ホームページに来る前に見ていたウェブサイト。
(direct)以外は、そのウェブサイトでリンクをクリックすることで、自社採用ホームページに入ってきている。
ユーザー獲得は、その名の通り「そのユーザー(求職者)を最初にどうやって獲得したのか?」を分析できるレポート。
こちらのレポートを使うと、例えば2024年6月月間の日付を設定してレポートを出した場合、
その期間中にアクセスをしてきたユーザーが、一番はじめにどの集客元から来たのか?を確認することができる。
(求職者によっては2週間前のことだったり、3ヶ月前のことだったりします。)
基本的には日常的に分析に使うのは次に紹介する「トラフィック獲得レポート」になりますが、「最初にどのようなきっかけで自社採用ホームページを知り、入ってきた求職者が、のちのち応募につながりやすいのだろう?」など、
最初のきっかけ、動機づけと応募の関係性などを探りたいときに使えるレポートです。
こちらのレポートは、ユーザー(求職者)毎ではなく「今回のアクセスでどこから来たのか?」を確認できるレポートです。日常的にはこちらのレポートの方が確認する頻度は高いです。
どこから、どのくらい求職者がアクセスしてきてくれているのかを確認しつつ、もっと増やすためにはどうすべきか?を考えていきます。
以前のバージョンのGoogle アナリティクス、通称ユニバーサルアナリティクスでは、そもそもこちらのトラフィック獲得レポートに準ずるレポートしかありませんでした。
ユーザー獲得レポートができたことにより、分析の幅は拡がりましたが日常的には今まで通りの分析→対策を行うことになります。
という事で、今回の記事では、こちらの「トラフィック獲得レポート」を中心にご説明していきます。
それでは、ここからは実際の画面の使い方をご説明していきます。
まずはGoogle アナリティクスにログインし、左側メニューの
レポート>ライフサイクル>集客>トラフィック獲得
を、クリックしてください。
すると、以下のようなページになります。
前回の記事も見ていただいている方はおなじみになるかと思いますが、
上図、赤丸部分のプルダウンを、自分の見たい内容に変更していきます。
先ほど、用語説明の所でも言及しましたが、今見ているのは「トラフィック獲得レポート」つまり、「求職者(ユーザー)が、今回のアクセスでどこから来たのか?」を分析するレポートですので、プルダウンで選択できるものの名前は「セッションの」という前置きがついていますので、その点も意識しながら確認するようにしてください。
レポートを開いた瞬間は、「セッションのメインのチャネルグループ(デフォルトチャネルグループ)」になっているかと思います。
これは、本記事最初にご説明した用語の「チャネル」に該当します。
(Google側の分類ルールで振り分けられたものを「デフォルトチャネルグループ」といい、どの会社のレポートでも必ず表示があります。自社オリジナルで分類を使いたい場合は、「カスタムチャネルグループ」として作成可能です。「メインのチャネルグループ」は、カスタムチャネルグループを作った際など、よく見るものを「メイン」として設定し、すぐに確認できるようにする機能です。※管理画面で変更可能)
見るべきおすすめとしては、
●「セッションのデフォルトチャネルグループ」
●「セッションの参照元/メディア」
の2つです。
まずは、「セッションのデフォルトチャネルグループ」を見てみます。
チャネルは「大分類」ですので、おおまかにどういった経路で自社採用ホームページに集客出来ているかを確認していきます。
ここでも少し用語説明をしますと、
GoogleやYahoo!などの検索サイトからの流入。自ら検索して、広告以外をクリックして、自社採用ホームページに入ってきている。
ブックマークやURL直接入力などからの流入。またきちんと計測の設定が出来ていない場合、メルマガやQRコードからの流入もこちらに振り分けられる。
外部サイトからリンクをたどっての流入。検索サイト、SNS、動画サイト以外の外部ウェブサイトでリンクを貼ってくれていて、そこから求職者がリンクを飛んできたということ。自社が運営していても、ドメイン(URLの.comや.co.jpを含んだ部分)が違うと、Referralになる。
リスティング広告からの流入。
ディスプレイ広告(バナー広告)からの流入。
SNSからの流入。Organicだと広告以外、PaidだとSNS広告からの流入。
動画サイトからの流入。Organicだと広告以外、Paidだと動画広告からの流入。
上記を踏まえた上で、
●ユーザー数・セッション数が多いものはどのチャネルか?
●エンゲージメントをしてくれているのはどのチャネルか?
●コンバージョン(キーイベント数)が多いのはどのチャネルか?
※キーイベントは、画面サイズによってはレポートの表部分を右スクロールをしないと見れないです。
などを分析していきます。
例えば、いくつか分析と対策の例をお話すると、
<例1>シンプルに全体的にコンバージョン数(キーイベント数)が少ない
→セッション数を増やすか、応募率(キーイベント率)を上げるかですが、
応募率(キーイベント率)は、良くて1%程度です。
必要な応募数に対して足りていない場合は、広告なども検討して、まずはセッション数を増やすようにしましょう。
→また、Organic Searchなどは、BtoB企業などで知名度がないとなかなか増やせない部分もありますが、記事や原稿をしっかりと掲載して、少しでも多く入ってくるようにしましょう。
<例2>Organic Searchが多くなく、Paid SearchやDisplayに頼ってしまっている
→サイト開設当初など、一時的には仕方ないが、PaidやDisplayは掲載を止めたら効果も止まるため、その状態のままでは、集客にお金が掛かり続けてしまう。
→対策としては、上記と一緒で、記事や原稿をしっかりと掲載して、自社名、自社ブランド名は当然のこと、職種名や地域名などでも少しでも集客できるようにしましょう。
<例3>Refferalが少ない
→Refferalが一番というのも問題ですが、一定数はある状態を目指しましょう。
→まず、最たるものとしては、自社の他サイトからのリンクです。
採用ホームページ作成サービス等使わず、自社公式ホームページ内で求人サイトを作っている場合は、「他サイト」にはならないのですが、
採用ホームページ作成サービスなどを使って採用ホームページを作った場合、もともとの自社公式ホームページとは別のドメイン(●●.co.jpや●●.comの部分)となるため、そこからのリンクはRefferalに分類されます。
にも関わらず集客数が少ないという場合は、まずは自社公式ホームページの各店舗ページなどから、しっかりとリンクを貼るようにしましょう。
<例4>Refferalが多い
→逆にRefferalが多い場合も、基本的にはRefferalは他人が紹介してくれること頼みという状態なので、1位になってしまっていることはあまり良くはないです。
→参照元まで分析して、どのサイトからが多いのかをまずは特定しましょう。
例えば、求人サイトからのリンクが多いとかでしたら、やはりOrganicを増やす努力をするべきです。
<例5>Socialが少ない
→狙っているターゲット層にも寄りますが、若い世代はSNSとの相性も良いので、
会社としてSNSをやっていれば定期的に「求人してますよ」という投稿を出してもらうなど検討しましょう。
→求人ができていないことが経営上も大きな問題となっている場合には、求人専用のSNS運営なども可能性はありますが、投稿するネタを準備し、継続していくことも大変ですので、基本的には会社でやっているSNSにうまく便乗したり、SNS広告などを使うのが良いでしょう。
また、まずは現時点の定点観測としてのお話をしましたが、
右上の日付を調整して、
●先月や昨年と比べて何か違いはあるか?(以前は〇〇が多かったのに、今は少なくなっている。また増やせるのでは?)
という観点で見てみるのもオススメです。
前回、期間指定をする方法はお伝えをしましたが、同じ画面で「期間比較」の設定も可能です。
レポート上部、日付部分をクリックします。
出てきた日付選択画面の、左側を一番下までスクロールし、「比較」をオンにします。(画像参照)
比較をオンにすると、右側で「ベースとなる期間(上部の開始日・終了日)」と「比較期間(下部の開始日・終了日)」が選択できるようになりますので、先月と先々月(日数が違う場合があるので注意)や、先月と、昨年同月など選択して比較してみましょう。(比較オンオフボタンの下に、選択肢が出てきます。)
若干、情報量が多くなり見づらくはなりますが、以下のようにベース期間と比較期間が比較して表示されますので、増えた、減ったなどの傾向を把握していきます。
また、デフォルトチャネルグループで全体感がつかめたら、もう少し詳細に見ていきますので、次は「セッションの参照元/メディア」を選択してみましょう。
用語説明のところでもお伝えしたように、メディアは小分類、参照元はどのサイトなのか?が分かるとお伝えしました。
こちらを見ることで
●Organic Searchの中でも、GoogleとYahoo!のどちらが多いのか?
●SNSは具体的にどのSNSから来ているのか?
●Refferalのウェブサイトは、自社の他サイトか、完全に外部のサイトなのか?
などを確認できます。
また、広告などを行っている場合、さらに「キャンペーン」という情報も記録されています。
セッションの参照元/メディアの右横にある「+」ボタンをクリックし、
トラフィックソース>セッションのキャンペーン を選択します。
この「+」ボタンを使うと、もう一つ切り口を加えることができますので、ぜひ他でも使ってみてください。(セカンダリディメンションという機能です。)
あくまで、設定されているもののみとはなりますが、
●広告で設定した「どのようなキャンペーンなのか?」
まで確認できますので、Googleのリスティング広告の中でも、さらにどのキャンペーンが効果が高いのか?まで、確認することが出来ます。
色々とレポートの見方や用語の説明をしてきましたが、集客分析でやってほしいことは、
●まずは、多くの求職者を集める(ユーザー、セッション)
●自社採用ホームページの集客の状態を把握し、今も集客出来ているがもっと増やせそうなものや、あまりやっていないが可能性のありそうなものを探す
●可能な限り、応募につながっている集客方法を探す
●前月や前年とも比較し、伸びてきているものや減ってきているもの、また増やせそうな集客方法を探す
ということになります。
ぜひ、今回の記事を参考にして、よりたくさんの応募につながりそうな求職者を集めてください。
次回は「エンゲージメント」系のレポートについてご紹介していきます。
それでは、また次回「エンゲージメント」編でお会いしましょう。
株式会社Task it 代表取締役(2016年より現職)
株式会社リクルートジョブズにて人材の営業、新規事業立ち上げ部署などで従事後、ウェブの可能性を感じ独立。ウェブ業界未経験の状態だったものの、ウェブ解析士取得から約1年半でウェブ解析士マスターまで取得。
現在は、個人・企業に対してウェブ解析士講座やGoogle アナリティクス講座の実施や、ウェブコンサルティングを行っている。
著書に「Googleデータポータルによるレポート作成の教科書」や「1週間でGoogle アナリティクス4の基礎が学べる本」がある。(ともに共著)
・第1回:採用ホームページでの分析の考え方編
・第2回:ユーザー編
・第3回:集客編 ←今回のコラムです
・第4回:エンゲージメント編